デジタル技術をはじめとするテクノロジーの変化、世界規模での社会・経済環境・競争環境の変化は、その変化に直面している社会コミュニティや組織などの集団にも変革を迫ります。そして集団が変革に直面している時、集団の中に方向性を生み出し、潜在的な対立を表面化させ、それを建設的に統合して行く困難さは、実際に集団の変革を当事者として体験したことのある方ほど実感を持って感じられていることと思います。
「ワールドワーク（集団の衝突）を取り扱うと、（リーダーの）子供時代のすべての傷が再び現れる。はじめは自分のことを、巨大で、強力で、危険な世界の中にいる子供のようだと感じるだろう。それだけではない。社会的な緊張がインナーワーク（リーダー自身の内面と向き合う）になるのと同じように、リーダー自身の内面の成長の（未熟さが）多くが公衆の目にさらされる。プライバシーの感覚は侵害され、隠れることはできない。外的世界が内面に侵入してくる。インナーワークはワールドワークと分けられなくなるのである」。
A.ミンデル著「対立の心理学」（英治出版より2021年末発売予定）より
個人と集団の変容の心理学と言われる「プロセスワーク」は、ユング派心理学者アーノルド・ミンデル博士が中心となって創始、発展させてきました。その応用範囲は、精神疾患のある患者を対象とした臨床セラピーから、世界規模の対立・民族紛、そして組織におけるリーダーシップ開発・組織開発までを扱う非常に幅広く実践的なものです。創始者のミンデル博士自身も、現在いくつもの国の政府や世界機関、企業組織のアドバイザリーを務め、８０歳を過ぎた現在でも多忙な日々を送っています。
私たち「組織開発コーチ協会」は、プロセスワークの個人と集団の両方の心理的側面を扱う理論と実践の知識体系は、変革に直面するリーダー自身とってはもちろん、そうしたリーダーを支援する組織開発コンサルタントやエグゼクティブ・コーチにも非常に有益なものと信じています。
本協会は、プロセスワークを組織の現場への応用・実践する「組織開発コーチ」を継続的に輩出し、その実践知が再びコミュニティで共有されて、進化・発展する、知恵の好循環を生み出すことを使命として発足しました。
この知恵の好循環が、ビジネス界のみならず、教育界、政治や公的機関などが直面している集団の変化を促進し、個人と集団の才能がより良い形で花開くことにつながることを願っています。
２０２１年７月１５日
組織開発コーチ協会 代表理事
松田栄一
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